2012年7月31日火曜日

地下鉄の考現学② 浅草線にみる「民度」

浅草線の乗客はマナーが悪い。通勤に都営地下鉄を使うようになって感じた、率直な印象だ。東急線(池上線)と都営浅草線、都営三田線の3線を利用するようになって、浅草線利用者の「民度」の低さを感じている。同じ都営地下鉄でも、三田線より浅草線の方が「悪い」とも感じる。
「それはなぜか」を毎日通勤時に少し考えた。単なる「偏見による思い過ごし」なのか、「根拠ある傾向」なのか」

○よく言われる(それが正しい認識なのかどうかの判断は各々に任せるけど)、モラルの意識が比較的高い山の手を走る電車と雑多な方々が多い下町を走る電車の違い。これは、科学的に証明は難しいだろう。乗客一人ひとりの「民度」を測ることはできないので、実際そうだとしても「印象論」を超えることはできない。

そこで、具体的な事実に即して考えてみた。

これはホームでのマナーポスターですけど

○電鉄会社に「モラル向上」の意識があるかどうか

▼東急線は、まがりなりにも乗車マナーについて、たびたびアナウンスしている。(それが実効性があるかどうか、またどれだけ本気度があるかどうかは以前、「東急電鉄という体質」として批判文書を書いたけど)。おそらく乗客からのクレームが多いからだと思う。東急独自のマナー向上ポスターも駅構内には張ってある。(掲載写真は、スマホに夢中のバカと泥酔者向けのものですけど)

都営地下鉄ではモラル向上のアナウンスは聞いたことがないしポスターも見たことがない。唯一見たのは、「駆け込み乗車はおやめください」というもの。電車の定時運行しかアタマにないことが伺える。
都営地下鉄の職員は「公務員」。乗客へのサービスのインセンティブが機能する組織ではない。乗客を乗せてやっていると意識なのだろう。
都交通局のweb site を見ると、「サービス向上を目指して」という項目があり、過去4年間の「改善事例」が写真入りで掲載されている。しかしマナーに関する「改善」や啓蒙(この言葉はキライだけとあえて使います)の事例はまったくない。
○相互乗り入れ線の違い

▼浅草線は、西は京急、北は京成電鉄や北総線などと直通運転をしている。電車内の広告を見ると、東急単独線とは明らかに違う傾向が見てとれる。なぜだか、東京下町、千葉方面の広告が多い。

▼三田線は東急目黒線と相互乗り入れている。(目黒線は、南北線経由で埼玉高速鉄道とも接続している。)三田線の乗客は、“マナー向上”にセンシティブな東急の影響を受けている。だから浅草線より三田線の方がマシに感じるのではないか。ただし、京急や京成がどういう対応をとっているのかは調べていないので論拠は弱いかもしれない。

電車の車両の構造的な問題。
浅草線の車内 netより引用
混雑した電車で一番アタマに来るのは、扉の脇に突っ立っていて、乗降の邪魔になる輩だ。
「ここは私の場所ヨ」と言わんばかりに占領して、乗降客の妨げになっていることに頭が回らないバカは意外に多い。

これは、東急でも山手線でも営団でも、もちろん都営地下鉄でも一様に見られる。ではなぜ都営地下鉄はマナーが悪い乗客が多いという印象があると考えた時、扉と座席の配置の構造上の問題に行き当たった。

浅草線の車両、特に古いものは、扉と脇の座席の間に余裕がない。座席の横の仕切りからすぐ扉だ。ここにバカが立ったままだと、乗降時にひとひとり分のスペースが失われ、乗り降りが非常に非効率になる。いわゆるボトルネック状態だ。

京急、京成と相互乗り入れし、どの車両がどの会社のものか、また新旧さまざまな車両があるので一概には言えないが、浅草線を走る車両はドアと座席の間に余裕がない構造が多いようだ。だからヒトがひとり扉の所に立つだけで大変な妨げになる。

一方、以前乗っていたた山手線や東急池上線の新車両は、座席と扉の間に2,30センチの余裕があるものがある。そういう構造だと、ここにヒトが立ってても、乗降時、扉が開いた時、それほど妨げにならない。乗り降りが比較的スムーズに行われる。

この違いが、「浅草線の乗客はマナーが悪い」という印象をもたらしているのだろう。車両の構造は日々工夫されて新しいものだ次々出てきている。乗客側から見ると、座席の構造が一番「改良」されているように思う。ロングシートの間にポールを立てたり、座席の色を変えたりして、ひとりで2人分の座席を占拠しないような工夫や、最近ではJR東日本が開発した「足を組ませない」座席もある。まだ実際に見たことはないけど。

それに比して、扉と座席位置の構造に、工夫がある車両はあまりない。比較的新しい車両でも扉のすぐ脇まで座席を配置しているものもある。一定の座席数の確保や扉位置を変えるのがホームドアとの関係で難しいなど、いろいろ事情もあろう。

しかし、乗降をスムーズにすることは、乗客のイライラを解消するだけでなく、乗降時間の短縮にも貢献し、「定時運行」にも利することだろう。

利用者のことなど考える“余裕”も“気持ち”もない都営地下鉄の職員さん。マナー向上への取り組みは定時運行にもなることを、ちょっとは考えたらどうかね。

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