2017年3月4日土曜日

指南書を読んでみる。「小さな会社で僕は育つ」と「ブックカフェを始めよう」


  いわゆる指南書というのは、実践的ですぐ役立つ、お手軽本なのかもしれない。何かを始めようとしている時や、何かを身に付けたいと思っている時に、飛びつきたくなるだろう。
 「1冊でわかる日本史」(なんてタイトルが実際にあったかどうか分からないけど)や、「中高の英語が1か月で身につく」(同)なんかも、その類だし、いろんなことでお手軽本の魔力はあろう。
 実際自分もその手の本を何冊か読んでいるけど、恥ずかしくてブログには載せられない。(笑)
しかし指南書でも、そんなお手軽本ではない良書もある。

 『小さな会社でぼくは育つ』は、関西の中堅大学で経営学を教える准教授が、おそらく教え子の学生たちの多くが就職するであろう中小企業で働くことの「応援歌」として書かれた本だ。何かの雑誌の書評にあってタイトルを覚えていたところに、先週、図書館の「新しい本」のコーナーに置かれたばかりのところを見つけ借りて読んだ。
  すでに第一次定年を迎えたわが身では、これから中小企業に勤めようとしている人向けに書かれた本が何の役にたつのだと思われるかもしれない。実際、著者には少々失礼だけど、まるでパンフレットのように平易にお手軽に読めるような構成の本だ。
   通勤の行き帰りで読み飛ばすような内容だけれど、それでも1,2か所、自分を振り返るという意味でも、役に立つことは書いてある。
(どんな書籍でも、必ず1か所は「読んでよかった」と思う箇所があると信じて読むことにしている)
 著者は内田樹さんの合気道道場の門下生でもあるらしい。内田さんの著書からも何か所か引用がある。「雪かきしごと」のことは一番のエピソードだろう。
これに関して、ラガーマンの平尾剛さんの著書に出てくる、「プレーヤーズプレーヤー」についての引用が興味深い。
「彼らの魅力や能力は数値に換算することができないのはもちろんメディアやファンの目にも評価されにくい。往々にして地味なプレー。しかし彼らが率先してひきうける泥臭いプレーの数々があるからこそ、見る者を魅了するほどスピーディーな試合展開が可能になる。いろんな意味で周囲が騒がしくてもそれがを気にせず黙々と自分の役割を担うことができる。それがプレイヤーズプレイヤーだ。」(『近くて遠いこの身体』ミンマ社)

ラグビーはよく知らないし、ほとんど見ることもないけど、雪かき仕事はスポーツでもあるんだなと、感じた。チームプレーというのはこういうことなんだろうね。


もう1冊は「ブックカフェを始めよう!」。還暦を迎えたら何をして生きようか考えている身には、非常に興味ある本だった。
これも、丁寧に、カフェを開店させ、維持するためのさまざまなノウハウが、平易に書かれている。これぞ指南書という本だ。
多少、本が好きで、カフェにも興味がある者にとって、この本を読むと、「自分にもできそう」と感じてしまう。巻末に全国のブックカフェが何軒か紹介されているが、ほとんどが東京圏以外の、地方都市のものだ。何か理由があるのか気になった。