2012年7月10日火曜日

ヤクザのみかじめ料は把握できないが、ベンツを買ったら税は払う。消費税は一番公平な税だ。

「やくざが店からみかじめ料をとても、その所得は把握できない。だから課税できない。
でも、そのやくざが1千万のベンツを買ったら、かならず税をとれる。」

なかなかの例えだ。これを聞いたのは、もうずいぶん前のこと。
消費税が3%から5%に引き上げられる議論が国会で行われているさなかだたと思う。財務省(当時はまだ大蔵省だった)の主税局での一室である。

当時こう言われた時は、「なんだこいつ」と思った。しかし冷静に考えてみると、これはまったくもって正論だ。

会社や団体の勤労者ならば、所得は把握されるだろうが、それ以外の人は分からない。申告してもらうしかない。これは性善説に立っている。だからごまかす人は後を絶たないし、取る方も公正さを保てない。しかし「消費する時」は必ず白眉のもとにさらされる。売る相手がいる以上、必ず分かってしまうのだ。「やくざがベンツを買う」時はこれだ。ここに課税すてば、とりっぱぐれることはない。その意味では非常に公平であることは間違いない。

高価なモノを買ったら、それだけ税金も多くなる。高価なモノを買う、つまり消費が多い金持ちは多く納税することになる。社民党みたいに“庶民の味方”がなぜ消費税に反対するのか理解できない。弁護士の福島瑞穂も経済オンチとしかいいようがない。かわいそうな人だ。

野田総理が「消費税は最も公平な税」と言ったら批判されたらしい。(1か月くらい前の記事だったが、なくしてしまった。)。
「モノゴトをよく考えないで生半可な知識で勝手に良い悪いを判断し、感情で批判する。」それが今の日本の国民のメンタリティーだ。

食品など生活必需品には軽減税率と叫ぶ人や新聞社がいる。これについて経済学者の大竹文雄さんが分かりやすい説明をしている。(東洋経済6月16日号)

高級な食材を買ったり、高級料理を食べるのは高額所得者だ。食品に軽減税率を適用すると、得をするのは金モチだ。冷静に考えてみれば小学生でもわかる話しだ。
朝日は記者有論で「軽減税率 食品への適用欧州に学べ」(5月15日)と編集委員の小此木潔氏が主張しているが、朝日が軽減税率を言い出したのは、新聞にも適用してほしいという魂胆だったことが後にわかる。

モノへの税率が上がれば、確かに負担は増える。低所得者層は苦しくなる。消費が減れば経済も回らなくなる。それをどうしていくかは課題だろう。だからバウチャーによる給付など、財務省は知恵を絞っているのだと思う。

消費税の問題点は別のところにある。益税を生む仕組みだ。消費税導入時、反対する商工関係団体を説得するため、様々な施策がなされた。免税や限界控除制度などだ。(いまそれがどうなっているか詳細は勉強していない。)また、インボイス制度も見送られた。
今の日本の消費税は「税のがれ」しやすい制度であることは間違いないだろう。なぜだかこのことは、メディアも当の財務省もあまり触らない。ここに触れるのはタブーみたいだ。

最近の課題としてネット取引に正確に課税できるのかという問題が小さな記事になっていた。まだこの問題はよくわからない。

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前にも書いたが、別に私は財務省の回し者でも、ステークホルダーでもない。
増税議論ではイエロージャーナリズムからしばしば財務省陰謀説なるものが出てくるが、それはオカト違いだといいたいだけだ。今日の危機的財政状況は財務省(大蔵省)が作ったのではではなく、時の政権が予算をバラまいてきたからだろう。財務省はむしろ必至にどうすれば国家予算が健全になるか考えてきたことは明らかだ。責任が財務省の役人に転嫁されていることはフェアではないと言いたいだけだ。
もちろん財務省にもいわゆる「大蔵不祥事」があったりして、それが組織の信用を落としたことは否めない。しかしそのことと、財務省のミッションをごっちゃにして論じるのはスジ違いだろう。

冷静な議論ができない、日本という国。だんだん私はこの国と(その国民)がキライになってきた。
できれば子どもにはどこかに脱出してもらいたい。
でも、世界中のどこにもユートピアなんてないから、脱出してもそれはそれで地獄が待っていることはもちろんわかっているけど。

「消費税は最も公平な税」というテーマが最後はヘンな方向に行ってしまった。


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大竹さんの著書は本当にわかりやすい。3冊読んだ。










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