2012年6月4日月曜日

フリマから学ぶ「ショーバイ」の大変さと市場経済

横浜国際プールでのフリマ 客はあまり多くはなかった気がする

一般人にとっては、フリマ=フリーマーケットは、お気楽なものである。捨てるには忍びない不用品を誰かが有効に使ってくれればと、たとえ二束三文でも売れて、片付けばいいという気分なのだから。
たまりににたまった愚息のブロック玩具(LEGOという)やミニ電車模型(Nゲージという)、また多数の衣類やカバンの類を持って、5月最後の日曜日、横浜国際プール前のフリマに参加した。初体験である。
受付は午前8時、フリマの開始時間は9時。7時前に到着して場所取りして(まだ3,4組しか来ていなかったので好位置をキープ)。しかし“商品”を並べ始めると、すぐにLEGOマニアがやってきて、なんと9時前にすべて売れてしまった。まったく予想していなかったこの事態には驚きだった。

そして衣類なども早い時間ほど売れ、午前11時ころからはほとんど売れなくなった。結局、午後1時まで粘ったが、子ども用のスキー靴やスキーウェア、ヘルメットは売れずじまいだった。(冬物が売れないのは当たり前か)
私も家人も育った家庭は公共性の強い会社、公社勤めの家でで、これまでショーバイには無縁の人生。いわば初めて体験する「市場経済」だった。
ウィンタースポーツ用品は全く売れず
どういう時間帯にどういうものが売れるのか、どう「セールストーク」をして買ってもらえるのか。結構緊張する行為である。相手が購入を迷っている時、値下げするのか、強気に出るのか、おそらく経験と勘がものを言う現場なのだろう。

結果、うまくいったかどうかはわからない。何しろ元の値段がないのだから、売れて幾ばくかの金銭が入れば御の字なのだ。フリマの出店費用など諸々の諸経費が出ればそれでよしとするのが、フリマだ。これにハマる人もいるそうで、炎天下、自ら作った小物を根気よく売っている人もけっこういた。

それにしても「商売」とは大変だと思う。日々商売を生業にしている人には当たり前の話しだろうが、お金を払って商品を仕入れ、店舗や人件費など固定費、利益を算出して売り値を決め、そして売る。日々、買ってくれる人がいて初めて金銭が回収でき、利益を得て生活する。作って売る、食品を扱う商売であれば、なおいっそうたいへんだろう。

そんな「市場経済」の一端を経験できただけでも、中学3年の愚息にはいい経験になった。LEGOに関しては、商品説明を丹念に行い、買い手の心を動かし、買ってもらうことができた。
この日の横浜国際プールのフリマの出店数は、数えなかったので正確には分からないが、30~40だったと思う。プロらしき店は1店だけだった。

ところでフリマは、今やひとつの「ビジネスモデル」になっている。
リサイクル市民の会のスタッフが3,4人、出店場所の線引きから台車の用意、受付などを行い、催しを仕切る。出店料と車の駐車料を徴収し、会場にショバ代を支払い、彼らの人件費もここから出すのだろう。
LEGOはすぐ売れた。ザックも売れた。
フリマを出して改めて感じたのは、モノが豊富ないまの日本の現状と少子化で子ども用品の使い回しがあまりされない実情だ。
数値を比較した訳ではないが、衣類の相対的な価格は昔に比べて安くなっているだろう。また、数や種類も豊富だ。(ユニクロを思い浮かべるまでもない)。

勢い、ひとり息子の小学生時代の衣類も、並べてみると、こんなにあったのかと驚くばかりであった。それもユニクロではない、ファミリアやオンワードなど「ブランド物」だ。


年いってやっと授かったひとりっ子には、無意識にカネがかけられていた。そしてそれを使いまわす兄弟も親戚もいなかった。古着屋に持っていっても50円、100円の世界。フリマで800円から900円で買ってもらえ、利用してもらえるのは、実にありがたいことだった。

聞いた話しだが、場所によって客層がぜんぜん違うそうだ。そうすると売れるものも違ってくる。商売も同様だろう。大学で学んだマーケティングの知識など何も思い出せなかった。が、市場を理解するには、現場の実践を理論化していくことが必要なのだろう。

こうして書いていて、ひとつのことを思い出した。ハーバード大のMBAの教科書に、日本で生まれた2つのことが書いてあると、以前テレビ番組でやっていた。ひとつはトヨタのカンバン方式、もうひとつはセブンイレブンのノウハウだ。もちろんどちらも理論から生まれた実践ではなく、製造や商売の実践から生まれたノウハウだ。実践から生まれたものの強さは言うまでもない。

学ぶことは実践を積むことでもある。そんな当たり前のことを改めて肝に銘じた。

○追記
モノを売るという行為は、買った人が喜んでもらえることがモチベーションだろう。買ってよかったと思ってもらえることが、次に売ることの励みになる。しかし、だ。売れないと、とにかく買ってもらえればいいという思いが頭をもたげてくる。買い手に必要なものかどうか、ふさわしいかどうか、またそれが適正な価格か、商品に瑕疵はないかなど、どうでもよくなってくる誘惑にかられる。
わすが数時間のフリマでのショウーバイでもそういう気持ちになってしまうのだから、ホンモノの商売ではなおのことだろう。その誘惑をどう克服していくか、結構大きな問題かもしれない。
上手く回っている時はいいが、売れない時にどうするか。それはショウーバイだけの話しではないのだろうが。






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