その彼が暮れに出版した「棋士の一分」はたいへん興味深い。将棋に感心のない人にとってどうでもいいことかもしれないけど、それはどの分野でも同じだ。私にとって、ゴルフ界が将来どうなとうろかまわないし、プロレス界がどうなろうと全くどうでもいいことのように。
しかし将棋という「知的」なゲームの魅力や有用性は、スポーツとはちょっと違うかもしれない。
わずか600万人ほどしかないという将棋人口にあって、「トーナメントプロ」が今後も存続するかどうかは、棋士界にとて大きな問題だろう。それに対してなんら有効な手が打てない将棋連盟に対し、危機意識が足りないことを冷静な筆致で警告している。
強烈な個性の米長邦雄という前の将棋連盟会長の利にさといことを率直に批判している。もちろん彼の功績も認めつつだ。(私は米長はもともと嫌いだ。)
NETより「引用」 |
IAソフトついては、折しも1月3日(本日)のアサヒの朝刊に将棋、囲碁ともに佐藤名人、井山6冠が対局することが、2人のインタビューとともに1面を割いて“肯定的に”報じられていた。
一昔前、職場では昼休みのひと時や夜勤の空き時間に将棋を指す光景は結構目にした。職場のみんなで泊りがけでスキーに行った時など、必ず将棋盤を囲んだ。しかしそうした光景は今や見られない。
まして人口減少、子ども人口が減っている中で、将棋は風前の灯のようだ。かつてくらしていた東京の私鉄沿線の駅の近くに将棋道場があったけど、今はもうない。
橋本氏は書く、「ある新聞社が賞金を値下げすると言い出したら、他の棋戦を持つ新聞社も追随するかもしれない」と。いまや将棋面は部数増加になにも貢献していないというのが現実だろう。せいぜい新聞のオールドファンをつなぎとめているだけかもしれない。
将棋を指すのは「苦手」だ。市販の安いソフトでもすぐに負けてします。しかし、前にも書いたけど、棋戦を見て、その解説を聞くのが大好きだ。ある一手の背景に、どれほどの思索があり、戦略があり、トッププロが能力の限りを絞り出して放った一手であるか、それを見せてくれることはこの上ない魅力だ。
NHK衛星放送から将棋中継が消えたことを非常に嘆くとともに、憂える。ニコ動ではどうにもついていけない。
橋本八段。頑張れ。普通、私は他人に対して「頑張れ」とは言わない。常套句の「頑張ってください」という言葉の欺瞞性が嫌いだからだ。だけど、今回は橋本氏に対して、頑張れと言いたい気分だ。もう二度と理事選挙には出ないと書いているが、ぜひ出てほしい。改革する意志のある人が将棋連盟の執行部に入るなら、いくばくかの寄付なども含めて応援したいと思う。
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