2017年1月21日土曜日

母親にナルシシズムを感じとるのは酷な見方だろうか。電通「過労自殺」についての違和感 その2

 本日(2017年1月21日)の朝刊で、電通と“過労自殺”した女性社員の遺族が合意書を交わしたことが報じられていた。そして母親が会見したことも。
 繰り返しになるが、過重な労働は容認されるべきではなく、ましてそこにパワハラがあったとしたら、許されるべきものではないのは当たりまえだ。その意味では電通女性社員は間違いなく犠牲者であろう。
  電通(だけでなく、多くの古い体質の企業。自身の世話になっているカイシャも含めて)は、働き方の考え方を変えていく必要がる。それは多くの人の同意を得られることだとも思う。

netより「引用」
そのことを前提に、もう一度振り返る。女性社員は過重労働を続けているさなかに「自殺」したのではなかった。長時間労働が引き金になったと思われる「うつ病」を発症し、そして休んでいる時に自殺を図った。(と報道からは認識しているけど、これが事実関係かどうか教えて)

 うつ病の人は自殺を考えるものだ。と、かつて医師に言われた。だから周囲や医師は自殺をしないように対策を立てる必要がある。それが「治療」の一貫でもあるだろう。
 
 彼女は自殺した。母親はそのことを悔いている。体調を崩して休んでいる娘に対して母親は、もしかしたら励ましの言葉をかけていたのかもしれない。だって、家族の期待を背負って一流企業「電通」に就職したのだから、なんとか頑張りなさいよ、と。それは想像に難くない。母親のこれまでの会見からも、彼女への期待がにじみ出ていた。
 
 治療中の彼女にとって、休んでいる間の家族・家庭はアジールにはならず、期待に応えられない自分を責めて、自殺したのかもしれない。それはわからない。

 報道で母親が涙ながらに訴えている姿を見ていると、ナルシシズムを感じ取ってしまうのは、冷酷な見方だろうか。母親自身、自分の振る舞いに悔いて、それが電通に向かっている面は、はたしてないだろうか。

 母親が娘の写真を掲げて会見する姿に、そんな匂いを感じてしまう。何度でもいうけど、だから企業の側(電通や同様の体質のカイシャ)が免罪されるわけではないし、まして擁護しているわけではない。
 
 こういう状況では、母親に対して「批判」を加えることはタブーだ。絶対善として扱われるのが報道の常だ。ましてマスメディアと言われるところはそうだろう。

 でも冷静に、うつの治療にあたった医師はどう対応したのか。母親はどういう言動を娘に対してしていたのか、冷静に分析することからでしか、正しい解決法は見いだせない。

 うわべの報道からだけで、「働き方改革」をはじめ、さまざまな労働施策が作られていくとしたら、それは不幸なことだ。


***********

  電通では10年前にも自殺した社員がいたといいうが、私が31年勤務した企業体では少なくともその間4人の自殺者を知っている。その中には一時期いっしょに仕事した人もいる。それは若手社員ではなかったけれど、(むしろベテランの人)、何らかの心の病があったのは確かだろう。

 精神科医の和田秀樹さんの本を読んでいたら、中高年になるほどうつは増えると書いてあった。体感としてはあまり感じていなかったけど、言われてみると自殺した人などから、医学的にはそうなのだろな。

働き方改革の必要性は強く感じるし、是非改善が進むように努力していきたい。
それと「うつ病」治療、自殺予防は、分けて考えるべきだろう。話をごっちゃにしている、正しい解決策が見いだせないのは、どんなことでも同じだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿