2015年5月10日日曜日

山形・月山の異変。こんな5月は初めてだ。春スキーから異常気象と温暖化を考える。

2015年5月6日:姥ケ岳のピークから見た月山山頂(右奥)
日本海側(西側)にはほとんど雪がついていない
2015年5月6日。大型連休の最終日に、毎年の恒例になっている月山春スキーに出かけた。

朝6時過ぎに山形市を出て、山形自動車道をゆっくり西川町に向かい、自動車専用道路の終点から、昔のいわゆる六十里超えの道を月山に向かう。

しかし、何かいつもの年と比べてヘンだ。ふもとの弓張平のグラウンドのところにはほとんど雪がない。アレ、と思いつつ志津の集落まで進んでも雪がまばらにしか見えないのだ。

山形市から車を走らせながら遠くに月山を仰ぎ見た時は、そうした変化には気付かなかったが、近づいてみると、明らかに今年は雪が少ない。

2014年5月4日:月山山頂を臨む
この年も雪が少ないと感じたの
だけれど、更に少ないとは…。

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右の写真は、去年(2014年)の5月4日に撮影したもの。上の写真と撮影位置は異なるが、山頂への斜面の雪が明らかに違う。
感覚的には1か月アト(6月並み)の雪しか今年はなかった。
これが、たんなる、年による「違い」ならばいいけど・・・。
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さて、
志津の集落を過ぎ、つづら折の道の高度を上げていくと、いつもは両側に表れる、雪の壁もほとんどない。午前7時半前、姥沢の駐車場に着く。気温は、朝はやはり低い。けっこう凍えるほどで、しっかり防寒の準備をした。

2015年:リフトの下り場にある「月山」の看板。
周りの雪はスキーヤー用に運んできている。
山スキー(最近はバックカントリースキーというらしい)、シール、兼用靴(スキー靴と登山靴の兼用のブーツ)用の12本爪アイゼンを準備し、おにぎり2個とパンと500ccのお茶などを持ち、リフト乗り場までの300m余りに雪道をあるく。この辺は例年と変わらない雪の量に思えた。

8時から動くリフト。乗客としては2番目だった。前には中年男女の登山客のみ、スキーを持った者としては1番乗りだった。この時間のリフトおり場はまだまだ寒い。天気はいいが風が少し強い。

驚いたことにいつも一面雪に覆われているリフトおり場周辺に雪がないのだ。見慣れた看板もしっかり地面が出ている。スキー客のためにブルドーザーで運んできた雪で、雪道が作られている。
こんなことは30年近く月山に通っていて(毎年ではないが)、初めてのことだった。

2014年5月4日:山頂への斜面。
下に見えるのが姥ケ岳だ。
スキーをザックの両脇に着けて、ツボ足で、姥ケ岳まで直登した。20分ほどで到着。日本海が霞の向こうにかすかに見えた。見慣れた光景だが、何回見ても、すばらしい景色だ。好きな場所のひとつだ。

駐車場からの見えた月山の山頂方面だが、改めて目をやると、もう南斜面の上の方には雪がついていない。どう見ても1か月先の光景だ。これでは山頂を目指すスキーヤーはいないだろう。
(冒頭の写真が、その時の光景)

去年、ここに来たのは5月の4日。前日降雪があり、宿で気を付けてくださいとアドバイスをもらったくらいだった。この違いはなんなのだろう。

2015年:姥ケ岳から庄内平野と日本海を臨む。
普段はこちらの稜線は一面白なのだが・・・・。
降雪量は例年“並み”にあったように、感じていた。4月の気温が異常に高かったことが原因だろうか。全国的に高温が続く中で、山形でも大型連休前後から25度前後の気温になっていると天気予報で言っていたように思う。

山頂を目指すのはやめた。スキーをつけて、姥ケ岳をくだり、最近月山ではやりの「コブ」を練習することにする。まだスキーヤーもまばらだ。雪も比較的締まっている。浅いコブを選び、練習した。
気温はぐんぐん上がってきた。朝は寒く感じたのがウソのように、暑いほどだった。

1度少し休んで、リフト回数券7回分を滑り終えたのが11時半すぎ。持ってきたおにぎりはリフト小屋併設の食堂で豚汁を頼んで食べた。早めに帰ることにする。

駐車場から、志津集落まで滑って下りられる「清水コース」は4月30日に閉鎖されたと看板があった。
このコースは、ブナ林の中を滑って下る、非常に気持ちのいいところだ。車で上がってきてしまったので、もとより滑って降りる訳にはいかないが、連休中、このコースを楽しみにしていた人もいるだろうに。

2014年5月4日:月山の広い稜線にあがり、山頂はすぐそこ。
山小屋や社の埋まり具合からすると、まだ相当雪はあった。
以上は、今年はひとりで行った月山春スキーの記だけど、それにしてもこの異常気象は尋常ではない。あまりに高温が続くと、山形ではこれから田植えの季節、夏の高温障害などもあるのではないか。さくらんぼの生育も心配だ。


 農業についてはシロウトなので適当なことを言っているのかしれないが、例年と違うというのは、農家にとって神経つかうことだけは確かだろう。

簡単に言うと、春がなくて冬からいきなり夏になる感じ。これは東京でも感じているが、つまり温帯から亜熱帯に東日本もなりつつあるということではないか。
2015年:ふもとの弓張平。例年に比べこの時期としていは、
極端に雪が少ない。桜が咲いていた。
(奥にかすかに月山が見える)

高知に2年ほど暮らして、冬からいきなり夏の感覚は経験している。5月に引っ越して、子どもが幼稚園に行く時にはすでに夏服の季節だった。そして6月に入るとすぐ「プール遊び」が始まったように記憶している。

 こうした気象状態がじわじわ北上し、日本列島全体が亜熱帯になることも絵空事ではないだろう。現実に月山の雪から感じているのだ。いずれ月山の春スキーなんているものもなくなってしまうかもしれない。

わたしたちはこの異常気象を止められないか。
先日のニュースで地球の二酸化炭素の濃度が過去最高になったと伝えていた。↓



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150507-00000029-jij_afp-env
世界の大気中CO2濃度、月平均で最高値更新 米NOAA
AFP=時事 5月7日(木)13時52分配信

生きる世の中にさまざまなリスクがある。もちろん原発も「大きな」リスクに違いない。しかし地球温暖化は、ひとつの側面から見れば、更に大きな「リスク」なのではないか。温暖化による異常気象で起きる災害死、砂漠化による干ばつで起きる飢餓。

ひとつのことに目を向けて「危険」「やめるべき」という主張は、それ自体は正しいかもしれないが、『全体最適』として見た場合は、また違った見方が出てくる。

原発はないに越したことはない。この考えに同意するが、人類がエネルギーの欲望から逃れられない中で、リスクを除去する方法のひとつとして原発はハナから排除する考えには同意できない。もう少し深く考える必要がある。

5月の月山の、あの雪とブナ林のすがすがしさを、子どもだけでなく、その次の世代にも末永く味あわせてあげたいから。

今年は“残念ながら”単独行となった。
愚息は「受験勉強」

2013年5月5日の月山(姥沢の駐車場から)
右奥のちょっと見えているのが月山主峰
雪の量が今年とまったく違うのが分かる













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