2016年12月28日水曜日

マクドナルド化、アマゾン化する公共図書館。で、再度訴える「年末年始は開放せよ!」

いま、公共図書館(都内の区立のいくつかのことだけど)の窓口対応はマクドナルド化し、予約・配送・受け取りはアマゾン化している。

  大田区や目黒区の図書館で言うと、とにかく窓口が混雑しないよう、要員を配置している。バカ丁寧なトーク。きびきびした行動は、マニュアル化されているように思える。
 他の図書館にある蔵書を予約すると、貸し出しがなければ、早い時にはその日のうちに利用図書館まで届いている。ネットで検索して予約して借り出す一連の動きはほとんどアマゾンで欲しい物を買う行為に近い。

 マクドナルド並みの窓口対応とアマゾン並みのクイック配送。私の利用する図書館はすべて指定管理者による業務委託で、民間企業が運営している。だからなのだろうが、あまりに窓口対応と配送業務に経営資源を注ぎすぎていないだろうか。またそうすることが「行政サービス」の充実と考えているのだろうか。
 もしそうなら、少しお門違いだ。

 多少窓口で待ち時間が長くなっても、また、予約から本が届くまで2,3日かかったとしても、その原資をもっと広範囲に利用できる手立てとしてシフトすべきだと思うけど。

 かつて書いたことだけど、港区の図書館で、窓口の人が利用者を「お客様」と呼びとめていた。これも、どう考えてもオカシイ。「お客様」などと言うから利用者は消費者として振る舞い、借りた本を粗雑に扱っても何とも思わなくなるのだ。公共サービスを受けるのは「お客様」とは違う。税金を使った公共サービスに対して「お客様」と言うことに、管理者側も違和感がないとしたら、感覚がマヒしている。

 内田樹さんが何度も書いているけど、教育や医療に対して、利用者が消費者的振る舞いをすることのおかしさ、害悪。同じことが公共図書館でも起きていると言えるだろう。

 本を汚して返しても弁償させない。書き込みがある本など、消費者的振る舞いで公共の財産である書籍や音源がどんどんすり減っている。紛失による損失も相当だ。(かつて大田区の情報後悔で調べたけど、資料が手元にないので割愛)

で、再び訴える。年末年始こそ図書館を開放すべきだと。

私の行動半径にある身近な図書館、大田区立、目黒区立、渋谷区立、港区立の図書館を見ると、おしなべて年末年始29日から1月3日まで(目黒区は4日まで)、「全館閉館」だ。

この時期こそ図書館をオープンすべきたと主張するには2つの意味がある。

①日本の学制では1月から入試が始まる。様々なレベルの受験生にとって、年末年始は最後の追い込みだし、ここでしっかり勉強したい。普段図書館で勉強する人は、いったいどこに行ったらいいのか。自宅に勉強部屋があって、静かな環境でじっくり取り組める人ならいい。そういう環境下にないから図書館で勉強するのではないか。(もちろん自宅に勉強できる環境があっても、気分転換で図書館に行く人はいるだろうけど)。
世間が騒がしい時、また家庭でも何かと慌ただしかったりする時期にこそ、学習する場を確保するのが、「正しい」行政の施策だ。何も貸し出しなどの業務をフルで行えと言っているのではない。せめて学習室くらい開けてあげてくれ。
 湯浅誠さんが講演で言っていた。自分が東大法学部に入った時、その時は「自分は頑張った」と思った。しかし「今にして思えば、自分には静かな勉強部屋というy恵まれた環境があった」そのことに当時は思いが至らなかった、と。貧困世帯にある子どもたちは勉強する環境というスタートからアドバンテージを負っている。せめて、せめてそれを少しでも解消していくのが行政の役目だろうに。
 調べた限りでは、都内のどこの区も「年末年始はお休み」とハナから決めてかかっているとしか思えない。教育委員会(図書館の所管)はやはり紋切型の行政機関なんだろう。

②年末年始こそ、ふだん図書館に行けない人々のために。
杓子定規に言うと、行政サービスは市民(住民)に等しく提供されるものでなくてはならないだろう。一部の人にしか利用できないサービスは基本的にオカシイ。図書館のオープン時間は通常9時~19時くらいだ。(目黒区では一部21時まで週日はやっている。)
 仕事が多様化する中、また東京のように通勤時間の長い地域で、9時ー19時のオープンでは、平日は図書館を利用することはまず不可能だ。せめて21時まで開けてほしい。
 平日に行けない人は土日に行けというだろう。確かに土日は行けるけど、週末は週末でさまざまな用事がある人も多いだろう。結局、いわゆる通勤サラリーマン(ウーマン)は図書館から足が遠のく。普段から行く機会が増えればもっと図書館の蔵書が有効利用されると思うけど。

 武雄市のTSUTAYA運営が良いとは言えない。(正確に言うと行ったことないから分からない)。でも年中無休でオープンする姿勢は評価できる。

 年末年始のオープンや時間延長は、コストがかかると行政は考えるだろう。しかしやり方次第だし考え方次第だ。
 マクドナルド並みの窓口対応をやめ、予約・配送の要員を1人減らして、その分を時間延長の要員に回すという工夫もできるのではないか。そうしたことを十分に利用者に説明して実施すべきだ。
 そうしないのは内田樹さんの言葉を借りれば、図書館を運営する側も利用者を消費者とみなしている証左なのだろう。

 何度でも言う、図書館利用者は消費者ではない。税金を使った行政サービスを受ける住人でしかない。そのことを図書館の入り口に大書しておいてほしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿