
いろいろ事情はあるのかもしれない。ニコ動で中継しているとか、主催する新聞社との関係とか。しかし、どちらもクリアできない問題でもないように思われる。
内実は分かりようがないが、主因はなんといってもNHKのBS放送の編成方針にほかならないだろう。同じような旅番組、同じようなスポーツ中継、同じような歌番組、同じような映画ばかり並ぶ番組編成・・・・と言ってしまったら、どれも「違う」「それぞれに個性や特徴があるものばかりだ」という反論が聞こえてきそうだけど、興味のない者にとっては、そう見えてしまうプログラムだ。まあ、反対に将棋や碁に興味のない人にとっては、竜王戦や名人戦で誰がどう対局しようと、同じように見えてしまうのだろうけど。

集中の中味は、BSプレミアムの場合、ほとんど①紀行(旅・食・サブカルチャー)、②娯楽(映画・ドラマ・演劇・歌・お笑い)に集約されると言っていいかもしれない。「多様性」は、この範疇の中だけで行われている。
公共放送の首脳陣もバカではない。おそらく確かな統計的根拠に基づいて、これが一番、衛星放送の契約件数を伸ばすのに一番効率がいいからそうしているのだろう。
経済活動の原則(要するに一番もうかるようにするにはどうしたらいいか)から考えれば、一番売れるものを多く作ることだ。あまり売れないものを少数作り続けることは効率がわるく、もうからない。これ当たり前のこと。放送番組の制作が大量生産と同等かどうかは分からない。ニッチな生産が支持を得ることもあるけど、大衆というマスを相手にするには、「大量生産」が効率がいいのは確かだ。
NHKという組織は「国民の皆様から預かった受信料を無駄にすることなく一番効率的と思われる方法で使わさせて頂いています」ということなのだろう。
世の中で、将棋や碁をたしなむ人など、効率性からいったら「無視できる数」ということなのだろう。
おりしも、「週刊将棋」という週刊新聞が休刊するというニュースが出ていた。ベタ記事でほとんど問題にされないレベルだったけど。こういう
NHK衛星放送の囲碁・将棋関連の放送の減少、将棋新聞の休刊、こうした、それぞれでは小さな出来事が積み重なっていくうちに、文化(囲碁や将棋をそう呼ぶとして)が消えていってしまうのだろう。NHKはそうれに加担しているという自覚もなく。
囲碁も将棋も、凡人には想像もできない非常に高度な思考が見えないところで繰り広げられている。ビッグタイトルの中継は、その解説を通じて「見える化」し、知的刺激を与えてくれるシンプルだが非常にいい放送番組だった。
そんなものは「皆様のNHK」の運営には何のカンケイもない話なんだろう。
残念でならないけど、これが大衆社会の公共放送というこだ。
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