2015年7月30日木曜日

タバコを巡って② 受動喫煙の健康被害を軽んじる渋谷区

 いわゆる「シブヤ」=ハチ公のいるスクランブル交差点を中心とする繁華街とその周辺部は、渋谷区の一部かもしれない。が、同時に渋谷区のカオでもある。以下、このシブヤでの話し。

  この7月から再び渋谷区内に通勤するようになって、改めて気付いたことがある。いわゆる若者(バカ者とも言う)は、人の迷惑に無頓着な輩が多いということだ。しょっちゅう歩きたばこに遭遇する。そのたびに、有害紫煙に恐怖して避けて歩かなければならない。

 渋谷区に喫煙条例はないのだろうか。調べてみたら、なんと、ないのだ。
あるのは単に吸い殻を路上に捨てるのは禁止」というだけだ。そしてその罰金は「2万円以下」

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【参考】 きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例    平成九年一二月二日
(禁止行為)
第十一条 何人も、公共の場所等にみだりに吸い殻、空き缶等を捨ててはならない。
2 何人も、落書きをしてはならない。
3 犬の飼い主又は管理する者は、公共の場所等で、犬のふんを放置してはならない。
(吸い殻入れ等の設置及び管理)
第十二条 たばこ及び飲料の自動販売機を設置し、又は管理する者(以下「自動販売機設置者等」という。)は、吸い殻入れ又は回収容器(以下「吸い殻入れ等」という。)を設置し、これを適正に管理しなければならない。
(罰則)
第二十二条 第十一条各項の規定に違反した者は、二万円以下の罰金に処する。
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つまり、渋谷区では吸い殻を捨てることは罰金2万円以下の禁止行為だけど、路上喫煙は、条例
では何も制限されていない。条例に従えば、どこでも携帯灰皿を持っていれば歩きタバコもOKとい
うことだ。
なーんだそうんだったのか。これでは、路上喫煙がなくならいはずだ。

こう書くと、渋谷区の役人から反論を受けるだろう。

区は「渋谷区分煙ルール」を定めて「歩行喫煙はしない」「たばこは決められた場所で吸う」という運動を“推進”している。しかしそれは条例でない。だから罰則規定もない。
この「決まり」って何なの?。どうやってこれを守ることが担保されるのか。
しかもこの「分煙ルール」は、ご丁寧に、主要駅から半径300m以内を「重点地区」と定めている。半径300mをどうやって定義するのか。大平原でもあるまいし、どこからどこまでが300mなのか、分かりようがない。
また重点地区を定めるということは、重点地区以外は守らなくてもいいと言っているに等しいということではないのか。重点地区では何か特別に行政マンを配置するなど施策をしているのだろう
か?。さっぱい理解できない。
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/env/en_eventact/bunen2.html
確かに、条例でなくてもルールを設ければ、多くの“こころある”人はそれに従うだろうし、その意味では一定の効果があることは否定しない。しかし問題は「少数かもしれないが、ワルをどうするか」ではないのだろうか。そのために法律や条例というものがあり、抑止力として罰則規定もある。法治国家なんだから。

 卑近な例を出そう。
 殺人罪がなくても、大多数の“善良な”人々は人を殺したりはしない。窃盗だって同様だ。多くの人は、法律がなくても人様のものを盗み出したりしないだろう。それは殺人や窃盗がフツーに行われる世の中だと安心して暮らせない。それは自分たちの社会が成り立たないということを「理解」しているからだ(と、思いたい)。

 しかし、「殺人罪」という法律があるのは、多くの理性的な人々の中に、ごく少数だが殺人を犯す人がいるかもしれないからだ。実際、いる。だから罰則を設けて「禁止」している。

1000人が暮らす町で、999人が善良な人々だとしても、1人だけ殺人を犯す人いたら、この町は「怖い所」になってしまう。たったい1人、0.1%が、すべてをブチ壊す。だから「禁止のルール」は「少数者」のために存在する。

渋谷区の施策に話をもどそう。
ルールはなぜ存在するか、という原理的なことを斟酌せずにただ「禁煙ルール」を定めましたと言っても、それは実効性が担保されないし、そもそも説得力も何もない。

 おそらく、条例を策定する際に、愛煙家の区議や役人が「たかがタバコ、そんなに厳しくしなくても」「まあ大目に見て・・・」などと考え、ブレーキをかけたのだろう。そして妥協案として、なんら法的バックボーンがない、曖昧な位置づけの「禁煙ルール」みたいなことを決めた。

喫煙所からいつもはみ出ている。ちゃんと中で吸え!(netより引用)
役人も区議も、彼らはそのルールの実効性などどうでもいいと思っている。ただ、自分たちはちゃんとルールを作り、タバコの害から「区民等」を守りましたと、言い訳の材料にしただけだ。
健康を害する、また子どもなどの目の高さにあり危険とさえいえる「歩きタバコ」問題は、こうして処理された。バカにされたものだ。

ついでに言っておく。本日、悪名高いセンター街を歩きながら、吸い殻がどのくらい落ちているか数えた。スクランブル交差点までおよそ30メートルの距離だけだが、概算で50は下らなかった。条例の罰則の最高額2万円が課徴されたとしたら、これだけで100万円分だ。

渋谷区の役人は条例をどう生かしているのだろうか。この条例を駆使すれば、毎日数千万円の収入があるだろう。それをまったくやらない渋谷区は、もはや条例すら形骸化させているということだ。

性的少数者(同性愛者)を認めるのもいいけど、「区民等」の健康と安全を守るためにもっとやるべきことがあるんじゃないの。シブヤ区は。
斉藤 環さん(精神科医・評論家)の言葉を借りれば、渋谷区はそこにたむろする若者だけでなく、
区役所の職員、区議も「ヤンキー化」しているんだろう。



ちなみに隣の新宿区では、
「新宿区空き缶等の散乱及び路上喫煙による被害の防止に関する条例」で、
(路上喫煙の禁止等) 第 8 条 区民等は、路上喫煙を行ってはならない。ただし、区長の指定する場所においては、 この限りでない。と、
はっきり路上喫煙の禁止を謳っている。ただし罰金などの罰則規定はない。

一方、第 7 条では「 区民等は、道路、公園、広場、公開空地その他の公共の場所に空き缶等をみだりに捨 ててはならない。」と言い、2万円以下の罰金も設けている。

空き缶を捨てるのは2万円以下の罰金だけど、吸い殻はいいらし。
新宿も渋谷も目くそは鼻くそだね。これ以上、バカらしいから調べるのはやめるけど、まあまともな条例があるのは千代田区くらいかもしれない。 以上、バカらしい話を延々書いて疲れた。




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