2014年5月24日土曜日

「木綿のハンカチーフ」で涙拭くのは、今や男性になった。

太田裕美の「木綿のハンカチーフ」。
ウィキペディアによると1976年に年間売り上げベスト4になった、彼女の最大のヒット曲だ。

恋人を置いて都会に出て行った「男子」が、“魅力的”な都会生活に次第に染まっていく。そして、ふるさとで待つ「彼女」に、最後は「僕は帰れない」と、決別していく。
彼女は「木枯らしのビル街、からだに気を付けてね」と2番で歌ったが、3番では、決別の結果、最後の願いが「涙拭く木綿のハンカチーフ下さい」と言って、歌は「完結」する。

3番まで聞かないと、タイトルの意味がわからないこの歌は、作曲:筒美京平、作詞:松本隆と出ている。歌謡曲として最強のコンビによる歌だった。

オイルショックから3年、ようやくどん底から抜け出しつつあった経済状況の76年当時、おそらく都市より地方の方がまだ不況の影響を受けていたのではないだろうか、若者男子の多くが都会に職を求めて出ていった現実のようすを、よく表した「名曲」だ。

もちろん農家の後継ぎの「嫁不足」はすでにあって、それはそれで農村社会では大きな問題だったが、ここでは置いておく。

朝日新聞より「引用」
「木綿・・」のヒットから40年。最近の新聞記事によると、これとはまったく逆の現象が起きていることが報道されている。
地方から若い女性がどんどん減っているという。それは子どもを産む世代が地方から減少していることを意味している。

5月1日のNHK「クローズアップ現代」では、「極点都市、新たな人口減少クライシス」として、地方都市では老齢人すら減少しているところがあり、そうした所では、女性の働き場所だった介護施設すら職場減少していることを指摘していた。

大都市への人の流れ、特に若い女性の進出は止まらず、それが地方の疲弊と少子化に一層拍車をかけているという分析には説得力があった。

都会で家庭を持って生活するのはハードルが高い。結果、未婚のままの女性も増えていく。(もちろん結婚できない男性も増える)。
これが少子化を亢進するサイクルのひとつになているのだろう。

緩慢な変化は気づきにくい。まして都会で、自分や家族を養うのに精一杯の精一杯の生活をしていると、社会の全体状況なんかには、気を回す余裕など、多くの人にとってはないだろう。

ある意味、社会の病理ともいえる、今日的状況は、ジワジワ進行するガン細胞のごとく、日本社会を蝕んでいる。それは単に、都会が豊かで地方は疲弊するといった単純な物言いで片付けられない問題だ。

ヒトはだれでも豊かになりたいと望んでいる。もちろんその「豊かさ」とは、一様ではなく、人によって価値観も実感も違うだろうが、少なくとも今より後退することを望んでいる人はいないだろう。
さまざまな意味での豊かさを維持するには、地方も地方なりの維持能力を備えている必要がある。

気が付いた時には涙ふくハンカチすらもなかったという世の中にはしたくない。次世代の人々がすこやかに暮らしていくためにも。



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