2012年4月18日水曜日

東京 プール難民はどこへ。「辰巳国際水泳場探検記」

東京体育館の一般公開プールが、改装のため4月1日より1年間休止になった。日頃よりここの50mプールを利用していた者としては、行き場がなくなってしまった。
ここ3年ばかりは、ほぼ毎週、土曜日の午前9時には体育館の入口に立ち、一番に泳ぐのが習慣になっていた。同様の人々は大勢いる。毎週通っていると見覚えた顔が何人もいる。多くの人々が「健康」を求めて通ってくる。
いいことではないか。運動してスリムな身体を保ち健康に暮らすことは、膨れ上がる医療費を抑え社会に貢献することである。行政は、そういう人を増やすための投資をもっとすべきだし、そうすることによって結果的に行政の費用は軽減される。それが健康増進法の趣旨でもあろう。
http://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/law/index_1.html

冒頭から話がそれた。
閉鎖された東京体育館のプールによって、おそらく何千か万単位の人々が難民化した、と思う。
何しろ公共施設の50mプールで、個人利用ができるところは、非常に限られているのだから。
プール難民となった彼ら(私ら)はどこを漂流しているのだろうか。困ったことになった。

で、先日まで、水泳日本選手権が行われていた、江東区辰巳の国際水泳場に高い電車賃を使っていってみた。
http://www.tatsumi-swim.net/

以下はその“体験記”である。

辰巳国際水泳場(webより引用)
ここは非常にアクセスが悪い。山手線の大崎を経由して、りんかい線に乗り新木場下車。そこから徒歩で約12分。4月14日は結構な氷雨が降る日だった。

新木場駅はJR京葉線や地下鉄有楽町線も乗り入れているが、駅前はいくつかの事業所のビルが目立つくらいで、3線乗り入れの駅のターミナル駅という感じはしない。単なる「換え駅」的だ。

運河の水門

駅前広場から明治通りを行く。京葉線とりんかい線の高架をくぐり、トラック一杯の湾岸道路を渡り、そして首都高湾岸線をくぐって、国道357の道沿いを行く。この道もトラックばかの、いわゆる産業道路だ。番地の看板があった。「江東区夢の島1丁目1」。
ここは夢の島だったんだ。(これについては別項で記す。)
運河を渡り、ほどなく辰巳の水泳場に着く。

◆建物はシャレたデザインだが、中はちょっと古い。

web siteを見ると、「スイマーの聖地」という銘打ってある。
受付案内の女性は非常に親切で、「大人600円で、1日中いられます」と、自動券売機まで導いてくれた。

ロッカーは極めて小さい
○更衣室:ロッカーは小さい。とてもサラリーマンが会社帰りに寄って背広を入れられるほどの大きさはない。スポーツクラブのロッカー室を期待していくと、がっかりするだけでなく、荷物の置き場に困ってしまうだろう。これでは夏、短パンにTシャツで来るくらいにしか対応できない。


○洗面所:かろうじてドライアーは2台置いてあった。ホッ

○シャワー室:もちろん風呂はない。シャワーはしきいがありお湯も出るからなんとか使える。石鹸の使用も不可とはなっていなかった。

洗面所にはドライヤー2つだけ
○プール: 更衣室から、通路(右にトイレ、左にシャワー室)を抜けると、そこがメインプールだ。階段を数段あがりプールサイドにでる。日本代表の選手たちも、ここ通って「決戦場」に行ったのだろうか。
初めて見る、公認プール。節電のためか照明は薄暗く、室内温度もちょっと寒い。朝9時。メインプールは閑散としていた。つい先日までNHKで中継し、熱狂していた競技が行われていたのかと、ちょっと落差を感じた。
それでも、このプールで泳ぐのは、少しワクワクする。「ゆっくりコース」という看板の出ている第4コースを泳いだ。
確か北島は100m平泳ぎの決勝で泳いだコースだ。片側は水深を浅くしてあるが、もう一方は2mになっていて気持ちいい。何より透明度があり、水に顔をつけると50m先のサイドが見えるのだ。


メインプールに並んであるダイビングプールでは、何やら飛び込みの大会をやっていた。あとでネットで見たら、なんと「日本水泳選手権」がまだ続いていたのだった。飛び込み部門として。

関係者しかいないような感じで、ちょっとさびしかった。


この日は9:00~11:00がメインプール7コースが公開。11:00以降は貸切使用が更に入り、一般公開は3コースのみになる。その情報はサイトからは分からない。
すぐ隣にあるサブプール(5コースくらいあったかな)は、半分を貸切で中高生くらいの団体が使用していた。2コースはたぶん一般公開していたと思う。


◆結論「辰巳国際水泳場」

ここは①競技会、②団体利用、③個人利用 という優先順位がついている。もちろん競技会で使用しない一般公開では、個人利用も担保はされているが、メインでは3コースだけの時もあるようだ。

更衣室などの設備からして、スポーツクラブ的な使用は期待できない。よっぽど50mプールで泳ぎたいという欲望があるのでなければ、近くにプールがあるのなら、わざわざ行く程ではないかもしれない。

さて、1年間待たされる東京体育館のプール。改装によって「公認プール」になるのだろうか。そうなると、競技会で使用することも増え、一般公開が減るのではないかと「危惧」している。市民スポーツの場が狭められることがないことを望む。プール難民になった人々も同じ思いなのではないかな。
ちなみに、すでに数年前から団体利用と水泳教室のみとなった代々木競技場のサブプール(50m×6コースだったと思う)と辰巳は、運営の指定管理者が、東京都水泳協会、セントラルスポーツ、オーエンスになっている。サイトからは運営母体が国なのか都なのか分からなかった。

国立代々木競技場のサブプールの運営は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが行っている。

※その他の50mプール
世田谷区民プールも都内では数少ない50mだが、更衣室やシャワー室の狭さ、石鹸の使用不可、コース設定が泳ぎ中心ではなく(2コースのみだ)、ちょっと使いにくい。

プール難民はどこへ行く。

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