2011年7月8日金曜日

東急電鉄という体質②

日本民営鉄道協会による車内の迷惑行為の2010年のアンケートでは、
1位:騒々しい会話・はしゃぎまわり等
2位:携帯電話の着信音や通話
3位:座席の座り方
4位:ヘッドホンからの音もれ
5位:乗降時のマナー
と続く。
 民鉄は、アンケートはとっても対策には乗り出さないんだろうが、ひとまずそれは置く。

 以前こんなことがあった。朝の通勤で混雑した池上線上りの車中で、あまりにもひどい音漏れを起こしている若者がいた。この時はさすがに背広を着た多くの通勤途上の人がしかめっ面をしていた。終点ひとつ前の駅・大崎広小路駅では大勢降りる。その流れに乗ってひとりの男性が”ひじ鉄を、このノイジーな若者の背中に一発ぶちかまして降りていった。やっぱりといいった光景だった。心の中で喝采を送ったのは言うまでもない。朝から不快な気持ちとスカッとした気持ちの両方を味わった日だった。
 
 東急電鉄は、それがマニュアルになっているのか、池上線では毎朝ほぼ決まった時間帯(7時台前半)にマナーについてのアナウンスが行われているようだ。お決まりのお言葉は「一人でも多くのお客様が座れるように座席は詰めてお座りください」、「また、足を投げ出したり組んだりすると他のお客様のご迷惑になります。マナー乗車にご協力ください。」と、まったくもって魂の入っていない、棒読みのヘタはアナウンスが流れる。
 しかし朝の通勤ラッシュ時(もちろん終電を抜かせば一番混雑している時間帯)は、意外にも秩序が保もたれている。毎日利用する通勤通学の人々は、ラッシュではどう振る舞うべきか、多くが認識しているからだろう。

 多数が秩序だっていると、時々参入する新参者も多くは周囲の「空気」を感じてそれに従うから“秩序”が保たれる。最初に書いたエピソードは、朝のラッシュではむしろ例外的だ。(だからこそ鉄槌が下された訳だ) これが、いわゆる日本人のメンタリティー、集団主義・同調主義がいい方向で機能したケースかもしれない。
                                                    
東急目黒線と相互乗り入れする
東京メトロ南北線の高校生

 この項目を途中まで書いて、2か月以上放置していたら、池上線に新しいマナー広告が出現した。
「はみ出していませんか?」というコピーとともに、リュックの背負い、音漏れ、足の投げ出し、座席の占領をイラスト化している。わりとよく出来たマナー広告だが、残念なのはこれが、ロングシートの中央付近の網棚の上の広告スペースに置かれていることだ。
 最近の電車は、こうした広告スペースがすべて埋まらないことが多い。埋め草として置かれているに過ぎないこのポスターは、東急が本気でマナー向上を考えてはいないことを、皮肉にも吐露している。

 「東急電鉄という体質①」にも書いたように、鉄道会社にとって、乗客の不快軽減など、優先順位の低い課題でしかない。「一昔前の乗車率200%を超える大混雑の“痛勤”を思えば、たいしたことないだろう」と考えているに違いない。
 それでも都心の職場に勤め、否が応でも東急電鉄を利用しなければならない多くの人々は、毎日黙々と電車に乗る。乗らざるを得ないから、そこに「個」の空間を求め始める人々が少なからず出現する。ヘッドホンをつけ好みの音楽を聴き、ゲームに夢中になり、また居間でくつろぐように足を投げ出して「くつろぐ」人々だ。負の連鎖と言ったら言い過ぎだろうか。(この項続く)

0 件のコメント:

コメントを投稿