2018年5月12日土曜日

「強硬派」のパラドックス。トランプ流政治術は正しいか。みもふたもないはなし。

 日本の(リベラル寄りの)論壇では、よく「保守のパラドックス」が指摘されている。対ロ、対中、対韓外交などにおいて、リベラル勢力が譲歩ととられる交渉をすると、右翼からものすごい非難が浴びせられ、保守派の人々が攻める。しかし安倍などが同じことをしても保守派は「安倍さんが決断するんだから仕方ないね」という雰囲気になり、交渉が進む。(と、いうのが「保守のパラドックス」と一応簡単に理解しているけど、こういうことでいいんですよね?)

 同様のことが一連の対北朝鮮でもアメリカ外交で行われた。軍事行動の辞さないという厳しい態度で北朝鮮に臨んだトランプ政権は、(内実はどうであれ)ともかくも北朝鮮の核放棄に方向に進んだのは確かだ。(もちろん6月12日の米朝会談を見てから本当の進展はわからないけど。)

 こうなるとオバマやクリントンが行ってきた地道で粘り強い交渉とは何だったんだということになる。ムダな方法だったのではないかと。結局世界は軍事力=力を背景にしか動かないという論法になる。「保守・強硬派という道は正しい」みもふたもない話だ。

 おそらくトランプは中東問題もこの手法でいくのだろう。イスラエル軍事力を背景にパレスチナを抑え込むことが「正しい」と。でもそう上手くはいかないのは明らかだ。
パレスチナ問題は、単なる領土問題ではない。宗教や民族をベースとした人間の尊厳の問題だ。力で屈服させようとすればするほど反発を招く。トランプはそのへんの人間のココロが分からないだろう。
 
 イランの核合意の離脱を見て、トランプはなによりアフリカ系が嫌いな差別主義者だとういくことがよく分かった。とにかくオバマが行ったことは全部否定したい。トランプにとってアメリカ政治で「黒人」が大統領として行ったことはズべて否定したいのだろう。
その線上にイラン核合意があった。

 力だけが唯一の解決策。トランプはみもふたもないことを世界に示してしまった。それを乗り越えて理性に訴えるという人間的な営みを放棄してね。

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