2017年2月11日土曜日

リスクとは。あなどれない飲酒を放射線被ばくから考える。

とにかく昨今は「リスク」という言葉をよく見聞きする。
原発問題、自衛隊のPKO活動、健康問題、等々、なんでもかんでもリスクがどうのこうのというのが、「高尚な議論」らしい。
誰だって多かれ少なかれリスクと付き合って生きている。リスクなどということを特に意識しなくても、『経験値』が無意識にリスクを回避してくれ、なんとか生き延びてきた。そんなもんだ。

うろ覚えだけど、内田樹さんが、分かりやすい解説をしていた。
リスク(risk)とは回避できる危険のことで、デインジャー(danger)は回避できない危険のことだと。

週刊エコノミスト(2011年10月11日号)より「引用」
今週忙しくて1週間ぶりに開いたこのPCのフォルダを整理していたら、面白い資料が出てきた。

 2011年10月の週間エコノミストに掲載されていたがんリスク比較の表だ。2011年は言うまでもなく東日本大震災のあった年であり、福島第一原子力発電所の事故と放射線漏れがあった年だ。10月というと、震災から半年余りで、放射線に関する報道でも、まだまだ混乱が続いていた頃だったと思う。今から思うと、本当に極論ばかり(左右とも)がクローズアップされて、冷静な判断能力が“市民”もメディアもまだ持ち合わせていなかった時期かもしれない。
 表を見れば、それこそ「一目瞭然」だけれど、200㍉シーベルト程度の被曝は、喫煙や大量飲酒、肥満と比べて、リスクは高くない。運動不足とほぼ同じくらいのリスクだ。100㍉シーベルトにいたっては検出不能と出ている。
 言うまでもないが、もちろん、これをもってして、原発は安全です。福島の放射能汚染はたいしたことはない。などと短絡的に言うつもりはない。太っている人、大量飲酒をする人は放射線被ばくのリスクについて語る資格はない、などとも言うつもりはない。冷静な議論が大切だということに尽きる。

 改めてこの表を見て思ったのは、アルコールのリスクだ。
こちらは公益社団法人アルコール健康医学協会のサイトに掲載されているアルコール換算表だ。
これを見ると、飲酒のリスクはあなどれないということを改めて認識する。

例えば、ワインを毎日3杯程度飲むとすると、180ml=アルコール20gなので
20g×3杯×7日間=420gとなる。
これは放射線被ばく500~1000㍉シーベルトと同等のリスクということになる。
喫煙に比べればまだ低いけど、これをどう見るか。

がんに罹患する人が人口のどのくらいいるのか知らないけど、たとえば20人にひとり(=5%)のリスクとすると、1.4倍のリスクだからこれが7%になるという理解でいいのだろうか。
もしそうだとすると、ワインを1日平均3杯飲む人に対して、「あなたは(飲まない人にくらべて)がんにかかる確率が5%から7%に上昇しています」と言ったとして、どれほどのインパクトがあるのか。
こういうことを言うと、がんのリスクを訴えてる学会の方々に叱責されそうだけど、まあそういうことなんだろうと、一般の人の多くは受け止めるだろう。
飲酒を習慣にしている人が7%のリスクを5%に下げるために、飲酒をやめるとはとても思えない。

でもこの論法を放射線被ばくに当てはめて、福島の方々に、同様に5%が7%に上がっただけですと言ったら、相当な非難を浴びることだろう。
要は絶対値ではなく、相対的で体感的、感情的な問題だということだ。
だから難しい。

ちょっと中途半端になったけど、もうすぐ9時で時間切れ。取りあえずアップします。


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