2015年11月10日火曜日

ノーベル物理学賞で、湯川秀樹「旅人」を思い出した。

「ニュートリノに質量」で、日本人がノーベル賞を受賞することになって、にわかに(再びというか)、物理学が一般の人の注目を集めた。11月8日(日)のアサヒの書評欄「ニュースの本棚」は『ノーベル賞と素粒子』を扱っていた。
その中に湯川秀樹の「旅人」が紹介されていた。
湯川秀樹と言っても、18歳の愚息は「それ誰だっけ?」レベルだけど、年配者なら日本人として初めてノーベル賞を受賞した物理学者ということは知っているだろう。

「旅人」を読んだのはもう30年以上も前の大学3年のころだった。いまでもよく覚えている。社会学のゼミの先生と飲んでいる時に、なぜか湯川秀樹の話になって、「旅人」を進められた。
「文庫の薄い本だkらすぐ読めるよ」という言葉に導かれ、数日中には購入して読んだ。
多くの中味は忘れてしまったが、確か湯川博士が確か5,6歳で論語を祖父から教えられてそらんじていたような記述があったように思う。
やはり、湯川博士は幼少のころから、並みの人間とは違うんだと思ったことと、同時に、理科系に進む人でも、幼いころの論語のような素養を大事にしていることに、かすかな驚きを持った。
すでに文化系に進んでいた自分も、反対に理科系の素養をまったく捨てるのはもったいないと、どこか心の隅で持っていた。
その後就職して家庭を築きと、人並みの生活に追われる中でも、おそらくこの思いはどこかで残っていたのだろう。かなり経ってから、畑村さんの「数学シリーズ」を読んだり、「もう一度高校数学」なども購入してそれなりに“読んだ”りした。(勉強しなおしたという程ではなかったけど。)
また、恥ずかしながら、子どもの中学受験では、ほとんど真剣に算数と取り組み、どうすれば一番子供に教えることが伝わるか熱中した。週に2日か3日。子どもの塾が終わるのに合わせて帰るのを待つ間、ターミナル駅のスタバで1問づつ問題を解いた。

 話が逸れたが、「旅人」はおススメの書籍だ。30年前に読んでも、時代背景が少し古臭いと思ったので、今の人々が読んだら、ほとんど「古典」かもしれない。それでもおすすめだ。愚息にも薦めてみようと思う。

で、全然関係ないことだけど、梶田隆章さんがノーベル賞の受賞が決まった時、会見で前の受賞者・小柴さんのことを盛んに聞かれていた。メディアは「カミオカンデの師弟関係」という分かりやすいストーリーを作りたかったのだろう。梶田さんは(もちろん)大人だから、それなりに受け答えをしていたが、どこか小柴さんに対してよそよそしい感じを受けた。
 ここからは単なる想像だから失礼になるかもしれないが、梶田さんは小柴さんに「冷遇」されていたのではないか。なぜか、小柴さんは東大卒だが、梶田さんは違う。当時の状況から言うと、東大閥の中で、梶田さんは様々なカベに苦労したと思う。きっとそういう壁を研究で打ち破ってきた努力の人なのではないか。あの穏やかな表情の中で、そんな「闘志」を感じ、梶田さんに好感を持った。
以上。


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