2018年3月21日水曜日

那須雪崩死亡「事件」。こんな処分で子どもたちは報われるのか

去年3月、那須で登山講習中の県立大田原高校の生徒7人と教諭1人が雪崩に巻き込まれて亡くなった「事件」で、栃木県教育委員会は、生徒を引率していた教諭の処分を発表した。県高校体育連盟登山専門部の責任者、大田原高校の猪瀬修一教諭(51)と副委員長で犠牲者が出た班を引率した真岡高校の菅又久雄教諭(49)が停職5カ月。計画作りに携わった栃木高校の渡辺浩典教諭(55)が停職3カ月。などだ。処分理由は「講習会を安全に実施すべき立場にありながら、その責任を果たさなかった」とした。この3人は登山講習会の責任者で、当日は悪天候のため予定していた登山を中止し、3人で相談して登山から雪上訓練に切り替えた。そして経験の浅い教諭が引率するグループが雪崩に遭った。
 定職5か月という処分が、県教委として重いのか軽いのかは、門外漢が軽々に判断することはできない。が、それで子どもたちは報われるのか。
 講習会登山は、一般の登山とは違う。参加した高校生たちは、基本的に講習会の責任者の指示どおりに行動する。危険だと思っても、自分は行かない、止めるという判断ができないと考えるのが普通だ。また講習会に参加するというのは、危険への判断がまだできないというのが前提だろう。だから責任者の判断は重い。非常に重い。
 以前にも書いたけど、講習会登山の参加者はバスにのった乗客だ。バスの運転手には、乗客を安全を確保する格段の責任がある。仲間同士で車に乗っているのとはまったく違う次元の話だ。
 そうした責任感への欠如が招いた雪崩事故は、もはや事故ではなく「事件」だ。それが停職わずか5か月。私心を述べればなんと中途半端な処分だろうか。所詮、教育委員会という身内が下す処分だとしか思えない。いま教師が、たとえば飲酒運転で接触事故を起こせば、間違いないく懲戒免職かそれに近い処分になるだろう。たとえけが人が出ていなくても。そうした状況に比して、この処分はどうなのか。責任は軽いと言っているようにしか見えない。彼ら教師たちに「悪意」はなかっただろう。しかし登山経験者だからこその油断、講習会という場に臨む気構えが欠如していた。
 (この項続く。時間切れ)

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