2013年11月12日火曜日

「食材“偽装”“事件”」を笑う。そんなにタイヘンな事件なのか?

 プリンスホテルから端を発し、阪神阪急ホテルズに飛び火し、そしてすべての(と言っていいほどほとんど)のホテルやデパートまで広がった、いわゆる「食材偽装事件」。世間はなぜそれほど大騒ぎするのか、私にはよく理解できなかった。

 なにしろ生まれて半世紀、「ブランド食材」を目当てに、高級ホテルやデパートなどで食事をした経験がいっさいないし、基本的に「高いものは食べない」ので、偽装が発覚したことがどんなに「悔しい」ことなのか、さっぱりわからない。

アサヒのwebsiteより
偽装(メディアによっては虚偽表示などとトーンを落としているところもある)が、良いことだとは思わない。(あたりまえか)。でも昔からそんなのいくらでもあったではないか。

 食べる方も、それをお約束で食べていたのではないか。私はデパートやホテルのステークホルダーでも回し者でもない。彼らを擁護する気はサラサラないけれど、大騒ぎしている人々には、へきへきする。

 おそらく「高級」イメージのある場所での事件だったから、大衆は怒ったのだろうか。あるテレビニュースでは、「一生に一度あるかなかいの晴れの席で、大金を払って食べた高級料理がウソだったなんて許せない」という「消費者」の感想を紹介していた。

 他の番組では中年の女性アナウンサーが「消費者は怒っています」と、特集の前触れで唸っていた。きっと彼女は、頻繁に「高級食材」の料理をレストランで食べているのだろうと、思ってしまった。

みんなで誤れば怖くない
景品表示法では、グレーゾーンが多くて罪には問えないと、いろいろなメディアで伝えていて、だから「道義的責任」を声高に言うメディアすらもあった。

 ただ、新聞もテレビも次第にトーンが落ちてきている。さほど問題なことではないと認識しだしたためか、あまりに「告白」が多くて、ニュースバリューがなくなったためか、それとも、デパートやホテルレストランは、東京など都市部の新聞の折り込み広告では貴重な収入源になっているから、あまり騒げないことに気付いたのか、それらがミックスされた結果なのかどうか。

とりあえずお客様に頭を下げるポーズ
いずれにしても、大騒ぎする消費者に、またまた日本人の「大衆的振る舞い」を感じてしまった。それまで有り難がたがっていた物に何かあると、「けしからん」と180度態度を豹変させて大騒ぎして、事態を一層混乱に陥れるのが大衆だ。

 ちょっと卑近な例かもしれないが、(これは以前にも書いたが)、福島の有機栽培農家の食材を購入していた消費者が、原発事故があったという理由で、放射能の影響がない農家の食材までも「拒否」して引いてったのと構図は同じだ。いわゆる「風評被害」といういうのは、まさに「大衆的振る舞いによる被害」だから、当然と言えば当然なのだろう。

ちょっと話がそれました。

 さて、食材偽装をなくすにはどうしたらいいのか。法律を厳しくするのか。いやそうではないだろう。もちろん最低限守るべきことは決めなければならないが、あまりに細かく「決まり事」を作ると、それは社会的コストが上がるだけでなく、消費者にとっても、それこそ味気ない食生活しかないだろう。

AERA 11.19号より引用
ブランド食材をありがたがる風潮そのものが、今回の「事件」を生んだ背景のひとつだ。言ってみれば裸の王様だった大衆が変わること以外に、表面だけ「お・も・て・な・し」の文化はなくならないだろう。

 ホテルやレストランは寡占市場ではない。選択肢が著しく多い業界だ。あまりに「高級」をありがたがらない「心掛け」があれば、あとは自然淘汰されるだろう。
評判の店は繁盛するし、おいしくない店はやがてなくなる。これは当たり前のことだ。

※ただしこの業界にも例外がある。大都市のターミナル駅など好立地で、しかも一見さんの客が多いところは、マズくても生き伸びている。こうした店を見分けて避けるのは、結構難しいかも。

 その意味では高級ホテルや高級デパートの「食堂」は、それだけで好立地であり、ブランドにあぐらをかきやすかったという背景があるのも確かだろう。

 AERA11月19日号の記事はそれなりに面白かったが、一番、同意したのは、巻末のコラム「ぐっちーさんのここだけの話し」だった。
「引用」しておこう。



一応謝ればヨシ
「オレのせいじゃねーよ」と心の中で叫んでいる

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