なにしろ生まれて半世紀、「ブランド食材」を目当てに、高級ホテルやデパートなどで食事をした経験がいっさいないし、基本的に「高いものは食べない」ので、偽装が発覚したことがどんなに「悔しい」ことなのか、さっぱりわからない。
アサヒのwebsiteより |
食べる方も、それをお約束で食べていたのではないか。私はデパートやホテルのステークホルダーでも回し者でもない。彼らを擁護する気はサラサラないけれど、大騒ぎしている人々には、へきへきする。
おそらく「高級」イメージのある場所での事件だったから、大衆は怒ったのだろうか。あるテレビニュースでは、「一生に一度あるかなかいの晴れの席で、大金を払って食べた高級料理がウソだったなんて許せない」という「消費者」の感想を紹介していた。
他の番組では中年の女性アナウンサーが「消費者は怒っています」と、特集の前触れで唸っていた。きっと彼女は、頻繁に「高級食材」の料理をレストランで食べているのだろうと、思ってしまった。
みんなで誤れば怖くない |
ただ、新聞もテレビも次第にトーンが落ちてきている。さほど問題なことではないと認識しだしたためか、あまりに「告白」が多くて、ニュースバリューがなくなったためか、それとも、デパートやホテルレストランは、東京など都市部の新聞の折り込み広告では貴重な収入源になっているから、あまり騒げないことに気付いたのか、それらがミックスされた結果なのかどうか。
とりあえずお客様に頭を下げるポーズ |
ちょっと卑近な例かもしれないが、(これは以前にも書いたが)、福島の有機栽培農家の食材を購入していた消費者が、原発事故があったという理由で、放射能の影響がない農家の食材までも「拒否」して引いてったのと構図は同じだ。いわゆる「風評被害」といういうのは、まさに「大衆的振る舞いによる被害」だから、当然と言えば当然なのだろう。
ちょっと話がそれました。
さて、食材偽装をなくすにはどうしたらいいのか。法律を厳しくするのか。いやそうではないだろう。もちろん最低限守るべきことは決めなければならないが、あまりに細かく「決まり事」を作ると、それは社会的コストが上がるだけでなく、消費者にとっても、それこそ味気ない食生活しかないだろう。
AERA 11.19号より引用 |
ホテルやレストランは寡占市場ではない。選択肢が著しく多い業界だ。あまりに「高級」をありがたがらない「心掛け」があれば、あとは自然淘汰されるだろう。
評判の店は繁盛するし、おいしくない店はやがてなくなる。これは当たり前のことだ。
※ただしこの業界にも例外がある。大都市のターミナル駅など好立地で、しかも一見さんの客が多いところは、マズくても生き伸びている。こうした店を見分けて避けるのは、結構難しいかも。
その意味では高級ホテルや高級デパートの「食堂」は、それだけで好立地であり、ブランドにあぐらをかきやすかったという背景があるのも確かだろう。
AERA11月19日号の記事はそれなりに面白かったが、一番、同意したのは、巻末のコラム「ぐっちーさんのここだけの話し」だった。
「引用」しておこう。
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