2017年12月29日金曜日

「JRスキースキー」今年のコピーはいまいちだ。言葉の力を信じないJR担当者

「JRスキースキー」は1990年に越後湯沢に開業したスキー場、ガーラ越後湯沢のキャンペーンCMだ。(Wikipedia) 
新幹線の駅からそのままスキーに行ける、東京駅から1時間余りという便利さ手軽さ、また越後湯沢という雪質がいいとされるエリアでのスキー客・スノーボード客を狙ったものである。このキャッチコピーを実は毎年楽しみにしている。今シーズンはどんな言葉で人を惹きつけるのだろうかと。

よく「言葉の力を信じる」などという言葉で、「平和主義者」と言われる方々は世界的な紛争の解決について平和的な話し合いの大切さを説く。新聞など大手メディアでも、同様の言い方で“平和主義者“を唱える。
 しかしそれでモノゴトは全てうまくいくのか。平和裏に解決することもあれば、武力でどうにかなることもある。また話し合いによる解決も背景にある武力がそれを後押ししていることもある。
「言葉の力」とは、効果的なこともあれば効果を発揮しないこともある。当たり前だけど。どんなことでも2面性はあり、単線でモノゴトを考えてはいけない。理想論を言うのは勝手だけど、それはあくまでも理想論でしかない。

で、キャッチコピーの話にもどる。
率直に言って、今シーズンのコピーにはがっかりだ。
「新幹線でスキーへ」というJRにとっての要望がストレートにコピーになっている。
しかも「私をスキーに連れてって」といいうバブル時代の有名な映画のタイトルを借りてきている。オリジナルな感じがまったくしない。これで人を惹きつけられると思っているのだろうか。(30周年であえて使ったとnetには書いてあったけどね)

 これはコピーライターが悪いのではなくて、このコピーを採用したクライアントであるJRの担当者が「言葉の力を信じていない」からに他ならない。
ストレートに言わないと「伝わらない」と思っているからだ。もっと言えば、おそらくこの担当者には言葉の感性が備わっていないし、想像力も貧弱なのだろう。

 私が一番いいと思ったのは「ぜんぶ雪のせいだ」だ。
もちろんCMは言葉だけでなく起用されたタレント、映像構成、音楽など複合的に醸成されるが、その言葉だけを取り出して評価すると、このコピーになる。スキーに行こうと思っている人間の想像力をかきたてる何かがある。そしてこのコピーを採用したクライアントの勇気も感じる。

いいコピーもそうでないものも「ぜんぶJR東日本のせいだ」

(Wikipedia より)
2017-18 私を新幹線でスキーに連れてって・いつもと違う冬も、いいもんだ。
2016-17 冬が胸に来た
2015-16 そこに雪はあるか
2014-15 答えは雪に聞け
2013-14 ぜんぶ雪のせいだ
2012-13 青春は、純白だ
2007-12 中止
2006-07 何でもありでSNOW
1999-2006 中止
1998-99 愛に雪、恋を白
1997-98 自分の雪を見つけよう
1995-97 ラクに行こう
1994-95 いい冬にしよう
1993-94 冬眠しない動物たちへ
1992-93 僕たちは寒くない
1991-92 雪男 雪女 

2017年12月9日土曜日

AbemaTVのバカ! 将棋観戦という趣味

日清月歩のweb世界では
すでに古典になった本です


かつてこのブログで、『ウェブ進化論』の梅田望夫氏の文を紹介した。梅田氏は将棋観戦ファンとしても著書も数冊ある。彼曰く、「将棋が趣味です」と言うと、何段ですかとか、強いんですか、など、必ず棋力を問われると。観戦が趣味だというと、将棋を知らない人からは不思議がられることもあると書いていた。野球やサッカーなら自らはしないけど観るのは好きだという人は大勢いるだろう。だけど将棋や碁だと、そういう人びとがいることが想像されない。でも自分も「将棋観戦ファン」であり、のめり込むという意味では唯一の趣味と言ってもいい。 
 
 ある1手が、どういう考えのもと、つまりその先をどう読み自分の勝利に向かって指された手なのか、棋士の頭脳の中味を解説してくれるのは、知的な趣味として非常に楽しい。NHK-BS放送が、将棋観戦ファンを切り捨ててから、その楽しみの場がなくなってしまった。確かにCS将棋チャンネルやニコニコ動画ではやっていたのだろうが、CSは有料、ニコニコも無料だとつながりにくく、視聴が集中する対局だとほとんどつながらなかった。
 そこに登場したのがAbemaTVの将棋チャンネルだ。注目の対局…ここ1年では藤井聡太4段の対局だろう…を余すところなく中継する。しかもとっかえひっかえ解説の「名手」が出てきて、1手の意味を深く解説してくれる。これほど思しろいものはない。
 とりこになったがために、多くの時間を将棋観戦に費やすことになった。仕事から帰って家でやらなければならないことは山ほどあるけど、結局、将棋解説を観てしまう。ア~ア。どうしてくれるAbemaTV。と、言うことで「バカ!」という叫びになる。
 
 AbemaTV将棋解説のいいところは、私のようにあまり棋力のない、初心者(将棋を覚えて50年以上たっても初心者なんて、なさけないけど)にちょうどいい解説をしてくれることだ。そのレベルのあんばいが心地よい。A級順位戦(C級2組)藤井対高野線は、夜8時を過ぎてもやっと駒がぶつかった程度というかつて見たこともないスローな展開で、夕食を食べながらずっとくぎ付けだった。急いで風呂にも入ってもまだ優劣がついていないような戦い。高野4段はすでに1分将棋だった。しかし年老いた身には睡魔があり午後11時過ぎは耐えがたい。泣く泣く寝た。朝5時すぎに起きて真っ先にネットで見たのは勝敗の行方だった。もちろん羽生さんと渡辺竜王の闘いもずっと見ていた。これもすごかったけど。
 将棋観戦ファンというのがどの程度いるのかわからない。しかしおそらくAbemaTVの創始者・藤田晋氏もそうなのであろう。だから需要があると見込んでこのチャンネルを立ち上げたのだと想像する。(AbemaTVが最近注目されたのが、元スマップの3人の72時間番組だったらしいけど、すみません、こちらには全く興味がなく何も見てません。)
 今はまだ忙しい身だけど、そのうち人生も黄昏てくると時間も多くなるかもしれない。その時もまだ将棋チャンネルがあれば、きっと1日中釘づけになることだろう。
 藤井聡太現象に、ここ1年は非常に注目されている将棋だけど、この知的で宇宙的な世界の奥深さ、面白さは尽きることがない。

面白いだけでなく、結構知的な本です
別の話になるけど、“アメリカ研究家”の町山智浩さんの『マリファナも銃もバカもOKの国』(10月に文庫になったばかり)を読んでいたら、『Pawers of Two 』という書籍が紹介されていた。ポールマッカートニーとジョンレノン、ピカソとマティス、アップルとマイクロソフトなど、ライバルがせめぎ合って驚くべき成果をあげた例を研究した本だという。森内永世名人もTV番組で言っていた。羽生さんがいなければもっとタイトルを取れただろうと思われるかもしれませんが、そうではなくて羽生さんがいたからこそ私も名人になれた、と。ライバルがいてこそ自分を高められる。この真理は多くのことに当てはめられる。改めて思うことだし、忘れないようにしたい。







2017年12月2日土曜日

コンクリート住宅を考える。

 図書館で発掘した『早くて安くて強い家 ロングホームの挑戦』は、ちょっと古いけどコンクリート住宅の基礎知識を得るのシロウトには分かりやし本だ。本の趣旨は自分が開発して特許をとったコンクリート建設の「RC-Z」工法の“広報”だけど、その点を差し引いで読んでも住宅に興味のある人なら十分役立つ。
※ただしこの「ロングホーム」はいまや倒産してない(らしい)。RC-Z工法は特許もあることから全国の工務店で引き継がれているので有効みたいだけど。

コンクリートへの誤解というのは確かにあった。かつて、当時の民主党が「コンクリートから人へ」というスローガンで政権を奪取したことに象徴されるように、コンクリート=人工物=人にやさしくない というイメージがつきまとっている。しかし安藤忠雄を出すまでもなく、コンクリートは大きな建物では不可欠な素材であり、マンションをはじめコンクリートの住宅は実は6割(この本から)あるということだ。
 コンクリートへの誤解はその材料に対する本質的なところでもある。コンクリートは実は天然の素材であることなども書かれている。(図書館で探してみてね)一方で、下記のような書籍も出されているから、ちょっとは読んでみようかと思うけど。
もうこのトシでいまさら家は建てないけど、ちょっと興味を持ってしまった、コンクリート住宅。また少し「学ぶ楽しみ」が増えた。
これからいろいろ読んでみます。